八木外科クリニック

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鼡径ヘルニア手術

 「脱腸」と呼ばれている病気は正式にはそけいヘルニアと言います。ヘルニアは組織の弱い部分が次第に広がって、お腹のなかの組織が外側に飛び出してくる状態です(本来正常にあるべき位置から逸脱することが語源です)。発生学的に男性に多い病気です。成人のヘルニアは自然に治ることはありません。したがって治療には手術が必要です。最も多く発生する部位はそけい部で、ここに発生するヘルニアには、内・外そけいヘルニア、大腿ヘルニアなどがあります。
  通常のヘルニアではそけい部の軽い痛みと腫れが認められます。ただし、小さなものでは全く気付かれないこともあります。おなかに力が加わった時や日中立っている時に症状が増大し、夜間横になっていると腫れがなくなることが特徴です。しかし、ヘルニアの穴に腸がはまりこんで戻らなくなった場合(かんとん)は、激烈な痛みや、腸閉塞が発生して吐いたりすることもあります。この時はすぐに戻す必要があります。もし戻らなかったら腸がくさることがあるので緊急に手術が必要です。
  ヘルニアの一般的手術方法には以下の種類があります。
  @メッシュ法:プラグ、ヘルニアシステム、ダイレクトクーゲルなどの名称の特殊な形をした網でヘルニアの穴をふさぎます。最近、全世界で広く用いられている最も多い方法です。従来の手術の傷と同じ切開で手術を行いますが、筋肉組織を寄せて補強しないために、術後の痛みが従来法より少なく、再発も少ない方法です。
  A腹腔鏡法:臍下に直列に1cmの傷を三カ所作って、腹腔鏡というカメラで内部からヘルニアの部分を観察し、穴をメッシュでふさぎます。この手術では同時に左右両方の修復手術が可能で、さらに内・外・大腿ヘルニアを一挙に治してしまいなす。また、内部から観察することでヘルニアのタイプが確実に診断可能です。おなかに力を加えるとかえってメッシュが穴をふさぐことから、術後すぐにでも力仕事ができます。高齢者、両側例、再発例、重労働者、ヘルニア部分の組織が極めて弱い人、術後反対側発生危険例(反対側ヘルニア発生の危険因子は、男性、初発年齢65歳以上、既往腹部手術有り、喘息や前立腺肥大症の存在)などの人に適応があります。傷の痛みは他の手術法より更に少なく、確実な診断のもとに適切な治療が行われるため、再発はまずありません。
  B従来法:若年者、かんとん例などに用いられます。ヘルニアの穴を閉鎖し、周囲の筋肉組織を縫い縮めてこの部を補強します。そのために、1)2)の手術法に比べて術後の痛みが強いことと、再発が多いことが欠点です。
  腹腔鏡手術を行わない施設もかなりありますが、当院では紹介した全ての手術が行えます。どの手術法にも長所短所はありますが、個人の状態、病態に応じた手術法を選択し、再発しない手術を提供する事が最も重要なことと思います。

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