八木外科クリニック

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胃手術

 胃癌の手術を論じるに当たっては、胃癌の進行度と病期分類にもある程度ご理解を頂かねばなりません。といいますのも、現在は進行度に応じたオーダーメイドの手術を提供する時代で、その中に腹腔鏡手術が組み込まれているからです。胃壁の構造は解剖学的に内側から、粘膜固有層(M)、粘膜下層(SM)、固有筋層(MP)、漿膜下層(SS)、漿膜(S)となっており、これに応じて癌の胃壁深達度(T)が設定されています。ちなみに早期癌とは癌が粘膜と粘膜下層にとどまるものをさし、T1と表現されます。これ以外に、リンパ節が胃癌の発生部位に応じた領域別に分類されています。さらに、腹膜転移、肝転移、遠隔転移なども考慮されて、病期分類がされています。
  一方胃癌の一般的手術の種類には、部分切除、分節切除、噴門側切除、幽門側切除(標準術式)、胃全摘術などあります。また、最近作成された胃癌治療ガイドラインでは、縮少手術A、B、定型手術、拡大手術と分類され、腹腔鏡手術の適応は縮少手術A、Bが適応となる早期胃癌とされています。
 それでは腹腔鏡下胃手術をいくつか紹介します。まず、腹腔鏡下胃部分切除です。これは良性腫瘍やリンパ節転移の心配のない早期悪性腫瘍で比較的小さなものに行われます。特殊な金属付き釣り糸で胃を内部からつり上げて、部分的に切除したり、周囲を剥離して、補助切開から外に出して、部分切除する方法です。
 次は腹腔鏡補助下胃分節切除です。ある程度の大きさまでのリンパ節転移の心配のない悪性腫瘍に行われ、リンパ節もある程度切除されます。おなかの中で胃を遊離して、補助切開から外に出して吻合する方法です。
 最近急速に普及してきたのが腹腔鏡補助下幽門側胃切除術です。早期胃癌で腫瘍のごく近傍のリンパ節転移のおそれがある場合でも対処可能で、分節切除より高度な手術です。おなかの中でリンパ節郭清をしつつ胃を遊離して、約5?6cmの補助切開から外に出し、切除吻合後に再びおなかの中に戻す方法です。しかし最近は、進行癌に行われる標準手術と比較しても遜色のない腹腔鏡下胃切除術、すなわち第2群リンパ節郭清を伴う胃切除術が試みられるようになってきましたが、まだ試行検討段階で、標準化はされていません。
 胃の入り口付近は噴門部といわれます。この部分に発生する早期の癌は、いままでは胃全的術が行われてきました。しかし、最近は病期に応じて噴門側胃切除術が行われることが標準です。この説明のない施設はあまり信用しない方がよいと思います。この手術に対しても腹腔鏡補助の手術が極めて有効です。
 当然のことながら胃の全摘術も腹腔鏡補助下に小さな傷で行うことができます。

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